ちょっと時間が経過しましたがフランスのパン事情についてまとめたいと思います。

フランスのパン事情の前に、僕がどのようなツアーに参加したのかを記載すると
記載する内容について納得値が高くなると思うので、先にツアー概要等を記載します。


◆◆ツアー概要◆◆
サ・マーシュの西川さんが企画した、
「モンディアル・デュ・パンの 日本代表 安倍シェフ応援ツアー」

もちろん安倍シェフの応援以外に現地に7日間いましたので
現地のブーランジュリーや食文化について視察することができました。


◆◆ 良かった点 ◆◆

1、『ツアーのガイドさんが良い』
  ・メインのガイドさん:食品関係専門なので話が通じる 
  ・現地滞在の人が日替わりで来てくれる
   国際結婚3年目の方や15年間パン等の職人をしている方、8年位パン職人をしている方等


2、『職人さんと一緒に旅ができるのでわからないことは教えてくれる』

 パン以外のことはいつも聞いていた(^o^)
 困った時は鈴木さんに聞けばいいと思っていたし(笑)
 ▼ツォップの鈴木さん。Ruheplatz Zopfの料理長ですね!
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3、『フランスの有名店のお店に行くことができ、更に厨房に入り質問もできる』
  M.O.F(国家最優秀職人賞)授与者の店舗、クープ・デュ・モンド優勝者、
  バゲットコンクール優勝者、現地で注目されているブーランジュリー等の店舗に訪問できました。

  また、フランス語が全くできない僕としては通訳してくれて有名シェフの話が聞けるのも魅力。

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M.O.F(国家最優秀職人賞)を授与されているドミニク・プランショさん

 
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Philippe Rigollot(フィリップ・リゴロ) 1
M.O.F(国家最優秀職人賞)とクープデュモンド優勝経験者のフィリップ・リゴロ氏と

Thierry MEUNIER(チェリー ムニエ)安倍 西川 川

▲チェリー・ムニエさんM.O.F(国家最優秀職人賞))と




4、『日数が多いのでシェフ達と交流がもてる』

フランス パリ サンセリテ 西川シェフ


株式会社カワ 川社長



リヨン 旧市街3

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▲自腹で今回のツアーに参加した天崎さん。偉いね〜。
 ハングリー精神が強いのできっともっと良いシェフになることでしょう!
 いつかはうちのベーカリーパートナーで取材したいですね(^o^)


5、『国際大会(モンディアル・デュ・パン)を初めて見れた』
  クープデュモンドやイバカップも見たくなりました。

2013年のモンディアル・デュ・パンの結果はこちら>>

モンディアル・デュ・パン2013 フランス3



6、『フランスのパン事情がわかった』
  これは1に記載した現地に長くいらっしゃる2人の職人さんから話を聞いたのが大きいですね。
  15年と7年位いる方達なのでフランスのトレンドがどのように変わってきたかも教えてもらえました。

フランス パリ ホテル





◆◆ フランスのパン事情 ◆◆


■労働環境の変化
週35時間で残業を含めても42時間という決まりがある。

10年位前から労働時間に対して厳しく言われる様になり、現状ではきちんと労働時間を守っている店舗が増えている。

実際、僕達が訪れた店舗でも守っているところが多く、
有名店でも職人が異常に早く帰宅する光景に驚きました。

1日7時間ですからね・・・。

どうしても時間がかかるところは、個人店でも2交代制でやっていました。


■時間短縮について

・人の配置が根本的に違う。
フランスはブーランジュリーとパティスリーが一緒になっているケースが多いですが、パティシエとブーランジェは別々の人で帰る時間もバラバラです。

ブーランジェに関しては、焼き、整形、下地等の行程で人の配置をわけていて、日本のように多くの範囲を担当していません。

同じ作業をしているので作業効率が早くなります。実際、メチャクチャ早かったです。下記の写真撮影をしたときも、職人さんの作業スピードは2倍速の動画をみているような感じでした!!

 
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・パンのアイテム数が少ない
聞いてはいないですが、店舗で商品ラインナップを見る限りでは日本の半分以下であると思います。それにより作業時間が日本に比べると短くなります。
 

・冷凍と添加物を使う
労働時間を守る為に添加物を使用している店舗が多かったという印象です。
 
もちろん昔は冷凍と添加物は完全否定の店舗が多かったが今は改良材なしでは考えられないそうです。

また、残念な事に日本と同様で職人不足のようです。特にフランスは家族との時間を最優先する人が多いので時間が長くなりがちなお店は敬遠され、基準となる労働時間以内に終わらせる様にお店は苦労するそうです。

以上の事から伝統的なパン作りから合理的なパン作りへ移行せざるをえなくなっている状況でした。(もちろんそうでない店舗もあります!!)

レストランでは液体窒素を使い瞬間冷凍をしているようです。まだパン屋では使っていないようですが・・・。

・職人が帰った後のパンを焼く人は??
という疑問がでたので聞いてみると、「2交代制でやっているので」という回答と、「販売の人が焼いている」という店舗がありました。なに〜 Σ( ̄ロ ̄lll)
これにはビックリしましたね。日本の職人がこれを許すとは思えないですし・・・。
  
20時間働いているという職人(ブーランジェ)もいましたし全てがそのような店ではないですよ!!!


■パンについて

▼ 全体的に焼き色が薄いのがよくわかります。
Thierry MEUNIER(チェリー ムニエ)パン2

Thierry MEUNIER(チェリー ムニエ)6
▲しっかり焼き色がついているものと、薄い焼き色のバゲット。


▼しかしコンクールではしっかり焼いています(フランスの作品)

モンディアル・デュ・パン2013 フランス5


何でだろう??
と思い尋ねてみると、驚くべき回答が帰ってきました。


「その方が売れるから。」

だそうです。

実際、現地に滞在している日本のシェフがきっちり焼き色をつけて焼くと、
「お前のパンは古い」
と言われた事もあるそうです。

ただ、最近はこれを見直そうという動きもあるらしいです。

コンクール用のパンとお店で販売するパンの見た目の綺麗さはある程度差がでるのは
しょうがないですが、日本よりその差が激しいという印象を受けました。


・バゲットの価格が1€ (130円)前後。
朝にバゲットを購入する人が多いと聞いていましたが、5年位前から朝と夜でバゲットを購入する人が半々位になっているようです。それは夫婦が共働きになったりライフスタイルが変わってきているのでそのような傾向がでるようです。恐らく地方に行けばその割合は変わると思います。



■ここ10年で変わったことは??

・職人として下手でも作れるようになった。

・添加物とうまくつき合う様になった。
結果として一週間経ってもカンパーニュが美味しいらしい。

・作業時間
(もちろん星付きの店は日本と変わらないぐらい働くところが多い)

・若者の志向の変化
若い子が何でも食べる様になり食の多様化が進んでいる。
特にパリはいろんな人種がいてそれらの人がその国の食べ物を持ち込むのでおのずとそうなりやすい。

・製粉会社のフォローが厚くなり、ソフト面の指導もしている。
その対価として粉の縛りがあるようですが。


◆総括

本場のフランスということで伝統的な製法でパンを作っていると思っていました。
しかし現実は、労働環境がそれを許さなかったり、消費者の好みが変わってきたりで
転換期にないっているのかな?という印象を受けました。

もちろん伝統的な製法を重んじて作成している店舗もありますよ!!!




だらだら書いてしまいました( ̄▽ ̄)

以上です。


僕個人の感想としては本当に今回のツアーに参加できた事をうれしく思っています。
いろんな国のパンやお菓子の事情も知りたいですね(^o^)


フランス パリ 古田 高浩

また、フランスに行って食べ歩きしたい(^o^)
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